親犬かっけー



ぼーっとテレビ見ながらお昼ご飯食べてた。

自分の部屋にテレビがなく、居間にあるテレビが見れるのは両親が居ない時だけ。それか晩ご飯の時。
今日は前者に該当したのでお昼からテレビ見てた。

特に見たい番組がある訳ではないので
見たくない番組だったらチャンネルを変えるって消去法でザッピングしてると大体旅番組か動物番組に落ち着いてる。あと囲碁将棋的なやつ。
今日も例外に漏れず動物番組見てた。
今回はなんか子犬だの子猫だの特集みたいな感じで。
各ご家庭のワンちゃんやニャンちゃんの成長の様子を切り替えながらそれぞれクローズアップしましたっていう感じの。
今日見てたのは外国の映像に日本語のナレーションだけってスタイルのやつだったけどこれが一番いい。
こういう作りのやつは大抵飼い主が殆ど出てこないし出て来ても飼い主の喋りまでは入ってこない。
「おやおや、そろそろご飯の時間のようですよ」なんてナレーションと共に笑顔で部屋に入ってくるぐらい。それでもカメラの画の中心には動物達。
あくまでも飼い主を第三者的な目線において、その動物達に焦点を当ててるからいい。

で、見てたのはほぼ産まれたとこからのスタートだったんだけどもう滅茶苦茶可愛いのな。
最初は目が殆ど見えないらしいんだけどなんとか手探りで母ちゃんの乳を探し当てるとことかヤバいっすわ。超マブ。もうマブとか言うよテンション上がったから。
色んなペットを飼ってる家らしくって謎の巨大ネズミ?と仲良くじゃれあったりするとことか、
日々ガラス越しに子猫を見つめてた巨大シェパードがとうとうその部屋に入ってくとことかも良かった。
なんか子猫達は皆ビビって逃げてくし母猫も警戒モードなんだけど一匹の好奇心旺盛な子猫だけが向かっていくの。
それで子猫が遊んでるボール型のおもちゃ使って一緒にコロコロキャッチボールみたいなことしてんのよ。最後は寄り添って。ヤバい。ギザかわゆすですよ。そりゃ言うよかわゆすって。かわゆすは出ちゃうって。ギザも出る。

中でも一番すげえなぁって思ったのは子犬達のやつで。

番組の最後の方になるとあんなに小さかった子犬達もそこそこ大きくなっててもう目も見えるし遊ぶ時もお外で遊ぶと。
そこのお宅の庭がまたすげー綺麗&ギザ広くってはしゃいどる訳ですわ。
最初はチクチクする芝におっかなビックリしてたけど幾日もすれば堂々としたもの。
しかしその日は思わぬ来訪者が。
あまりの庭の広さか、もしくはその家の飼ってるものなのかは分からないけど、ちょっとした柵の開いたとこからアヒルの群れが乱入。5~6羽だったかな。
目当ては庭に置かれた簡易水飲み場。鉄製の大ーきなお皿をイメージしてもらえれば。
その水飲み場には子犬が一匹。やって来るのは自分より大きな体のアヒル。このままだとお水スポットを取られてしまう。
案の定アヒルの群れは躊躇いなくやって来た。どうする子犬。

まず子犬はアヒルに向けてダッシュした。ビビらせる作戦だ。
すると、アヒルは意外にもあっさり退いた。やったぜ子犬。
いっぱい水も飲んだし元の遊び場所に戻ろうかとその時。待ってましたと言わんばかりにアヒルはUターンしてまた水スポットへ。縄張りが危ない。
そこからのアヒルは全く動かなかった。アヒルにも意地がある。
ダッシュしてもだめ。体をぶつけてどかそうとしても体格差で勝てない。
アヒルの周りをぐるぐる走り回ってみても効果無し。のんびり水を飲んでるアヒル。
このままではいかん。一体どうすれば。

すると子犬はとうとう最終手段に出た。
体勢を低くしてウゥ~~と唸ると突然ワン!ワンワンワン!吠えたのである。
ナレーションいわくこの子犬が初めて吠えたんだそうで。
子犬だけにその唸り声はちょっと甲高い。が一生懸命吠えた。吠え続けた。
だがしかし、アヒルはそれでも動かず。アヒルにはこうかがないみたいだ…。

もういかん。アヒル強い。勝てない。
諦めかけたその時である。「しょうがないわねー」って感じでゆるーく親犬が登場。
アヒルより大きいその体で何も言わずゆるーくアヒルに向かっていく。ビビるアヒル。
そのまま無言ウォークでプレッシャーをかけ続けるとアヒル軍は即撤退。
柵から出てくまで親犬はノッシノシと歩き続け、その隣には例の子犬がやんちゃに一生懸命追い払ってた。
なんてええ話なんや。そう思ってたら番組は終わった。

すぐ自分のことに置き換えちゃう悪い癖ですが。
仮に自分が飼い主だったら、アヒルを来ないようにしちゃうと思った。
水飲み場で子犬がアヒルに悪戦苦闘してるのを見たら「ごめんねー、ここはウチのワンちゃんの場所なのよー」とか言いながらやんわりとアヒルを追い払っちゃう。
それでもう柵が開かないように物とか置いたりするかも。マジでそう思った。

だけど親犬のあのだるそうな態度を見てハッとさせられた。
だるそうにしてるながらも、本当に子犬がピンチの時は駆けつける。ちゃんと見てるのだ。
逆に言えば、序盤ぐらいのピンチじゃビクともしなかった。あれぐらいなら子犬に任せて大丈夫。
子犬が一人で奮闘して、立ち向かう時に吠えること。これまで覚えられた。
最初からアヒルをやんわりと追い払ってたらこの時吠えることはもちろん、立ち向かうことも覚えられなかった。
もし俺が追い払ってしまっていたら、次に子犬が吠えることを覚えるのがいつ来るか分からないし、次にもし似たようなパターンがあった時だって、またやんわりと手を出してしまうと思う。
そうなったら子犬はいつまでも吠えることを覚えられない。
あと親犬がいるのに人間の俺がやるって。親犬の立場まで無くしてどうしたい。

子犬を信じて、見守ること。
子犬を見守って成長させてあげること。
そういうのは子犬自身が学んでいくことであって、こっちが学ばせるものじゃないなって。
なんか普通に親切な気持ちで思い付いた「やんわりとアヒルを追い払う」が、凄く残酷なことだって思った。
はじめてこんなこと思えたので、今までも知らない所でこういう残酷さを存分に発揮してたんだなって思う。どこの何かは分からないんだけど。少しでもパターン変わったらすぐ対応出来なくなる残念なとこがある。でもこれは絶対してる。

子犬がアヒルと戦うことを覚えたら、もう子犬は戦える。こっちが手を出さなくていい。
子犬は大きくなる。大きくなったらもっと戦う時が来る。
大きくなったら親になる時が来るかもしれない。子供が出来るかもしれない。
その時に、おおやっとるなぁ、あーったくしょうがねーなぁそろそろ行ってやるかってノリで子供を助けられたら、それが一番良いし、滅茶苦茶かっこいいなって。ギザかっこよすだなって。そう思った。
見守ることも出来ずに、手を出して、子供から自由を奪ってしまう。自分の無意識にそういう意識がある。
まだまだやってはいけないことを知らなすぎるから、自分はそういうのは無理だなってちゃんと思えた。


そんなこと思ってたら、1時間番組だったんだけど、ご飯が全然進んでないっていうね。
おい半分ぐらいしか減ってねーぞこれ。
結局食べきるのに2時間ぐらいかかっちゃった。味噌汁超冷たいの。
いやなんでかってまたその次のマダガスカル特集ってのが面白くってですねー………