有名なひきこもり画像に思うこと

 

 

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引きこもり関係の画像として、上のjpgを見たことがある人も多いと思う。
結構昔から存在していたように思うし、
今でも「引きこもり ご飯」なんかで画像検索すればトップバッターはこの画像だ。
元ネタは知らないけど、右上にテレビのロゴらしきものが出てるのを見ると引きこもり特集的な映像からだろうか。

この画像を見た人はまず何を思うだろう。
うわぁ切実だなぁと思う人もいれば
やめてくれーなんて思う人もいるかもしれない。
引きこもりってこんななのかよって笑ったり安堵する人もいると思う。


個人的には腹立つ。主に二つの理由で。

まずその書いてる内容を本人に言えよって思う。

メモに書いて、本人に言えない理由はそれが意味無いとか抵抗があると思ってるからだと思う。
言ってもどうせ聞いてくれないとか、
喧嘩になるかもしれないとか、
向こうから暴れられたらどうしようみたいな。
とにかく直接的な関係を拒んでいる。何かあったら困る。対処出来ない。だからメモを書く。
メモならメッセージは届けられる。私は気持ちを伝えました。おわり。ちょっと無責任。
もちろんその後「読んでくれた?」とは聞かないだろう。
それが言えるならメモなんて書かない。言えばいいんだから。

むかーーし少しだけ勤めてた会社にもあったけど、
辞めさせたい人間とは直接的な接触を避けるというテクニックがあったりするようで、
本人が近くにいたとしても、メモ書きを残して口では直接伝えない。
なんかで読んだ心理学だかの本によるとこういったテクニックは「私は貴方という存在を認めません」という印象をこっそり与える効果があるそうで、
これを継続させることで少しずつ相手を追い込んでいく。
意図してかそうでないかは別として、実際にそのやり方をそこでは目の当たりにしたり、されたりもした。
これもあんまやってることは変わらないと思う。


次に、このメモの内容は心配でなくお願いである。
部屋から出て来て欲しいと書いてある。
引きこもりの生活は大して楽しくない。いや、正直最初の数年は楽しかったりした。個人的に。希有な例かもしれないけど。
けど、この歳にもなるとなかなかそういう感じにもならなくなって、楽しいフリをしていても、流石にそれも辛くなってくる。
この画像で部屋の中にいるだろう引きこもっている人も、
部屋から出ることをメモでお願いされるくらいだから、相当事態が深刻になっていることが予想され、
日々がもうどうしていいのやら、でもそれについて考えるのは大変なので、
なんとか、自分で言えばモニターの向こうなり、恐らく部屋の中で何かに逃げているのが精一杯の状況ではないだろうか。

そういう気持ちが一杯一杯な状況でされるお願いは結構辛い。
何か支えになるちょっとした一言が欲しい時に、部屋から出ることをなおお願いされる。
嘘でも大丈夫だよと言って欲しい時に今ならまだやり直せるからお願いって言われちゃう。
そしてそんな強めのお願いを、私は心配しているのよというトーンで来ているのが厳しい。
それでもまだ部屋から出て来て欲しいと要求するぐらいの態度なのだから、
部屋から出したいなら家から放り出すほうが態度としてまだ辻褄が合う。
それぐらい強い要求だと思う。
でもメモで書いて届けて終了。お母さんは心配してます。

こういう要求をこういう態度で書いてるからこそ、何言ってんのって思うし、そりゃメモで書くわって思う。
本人にこれを直接言ったとこで話しにはならんだろうなって。
昔は直接言ってたかもしれなくても、こうやってメモになった過程が想像出来る。
結局相手を認めていないから、
うちの子供が引きこもりでヤバくって、
世間様に顔向け出来ないから、
その為に部屋から出て欲しいってお願いしているんじゃないかと。
自分のお願いを心配しているんじゃないかと。
相手を認めないのは、きっとこれよりずっと昔からなのではと邪推もしてみたり。

そもそも、お願い通り部屋から出たところでなんなのだろうか。
「まだやり直せるから」とリンクしてない。
部屋から出ることは復帰の第一歩じゃない。
恐らくこのメモでお願いされてしまう状況でなら部屋から出ることは第十歩とか百歩とか、もっと大変なものだ。
いやこの例えもピントがちょっとズレてて、
社会復帰する為に必要なのはまず部屋から出ることではなく、
社会に戻るために必要な、技術やら知識やら人と人との問題やら自分の気持ちの問題やら。人それぞれ違うだろうけど。
そういう、自分だったら人の気持ちを考えた行動を取れるようになるとかそういうこと。をするために今出来るであろうことをすること。自分は出来ないんだけど諦めてるけど。もしするならの話で。
だからそれらは別に部屋を出たところで解決しない。
もちろんそこには部屋を出る行為も含まれるだろうけど、部屋を出ることそのものじゃない。
何故部屋から出ることをお願いするのか。何するのかぐらい想像して分かれよということだろうか。
まだお願いまでするのならせめてそれについてをメモに書くべきだろう。
わざわざ部屋から出ることをお願いする必要は無い。

このメモ、実は何をお願いしてるのかもよく分からないってのもある。
読めば読むほど部屋から出ることがやり直せることへ繋がるように読める。んなことないのに。
要約すれば「なんとなくお前が全て万事上手くいけますように」と書いてあるように思えて仕方ない。
部屋から出たらあとはなんかうまいことやっといてよ。まずは部屋から出ることだよ。まだやり直せるから。



最初にも書いたけど、この画像、右上にテレビのロゴらしきものがある。
なので、元ネタ知らないから違ってたらごめんだけど、引きこもり特集的な映像だと思う。
だからテレビの人も来ているし、頑張らなくちゃと思っての結果がこれかもしれない。
きっとこのお母さんもお母さんなりに真剣に心配して、振り絞った内容がこのメモなのだろう。
(ただメモに手慣れてる感があるので初めてのメモではないと思う。)
背中を押すつもりで、突き落としているけど、マジで悩んで出たメッセージがこれ。
今伝えたい言葉の最終形が「部屋から出て来て」。お願いします。救いの言葉なんてない。

だから、この部屋で引きこもっている人は、このままだと改善しないと思う。
毎日こうやって暗にお願いされ続けて、お互いにどんどん疲れてしまうだろう。
もしどこかで助けて欲しいって気持ちを持っていてもそれを解決してくれる人はいない。
このお母さんだってえらくズレてるけどガチ悩みなのだろうし。
この疲れを取るにはもっと部屋に逃げて発散するしかない。ハイパー悪循環スパイラルである。

このメモ地獄。会社なら辞めればいいけど家はそうもいかない。
もしこれを改善するなら、その家を放り出される前に自分から飛び出すしかないと思う。家を辞めるのだ。
家族の縁だなんだ、そういうのを全部振り切って、引きこもってるならやりやすい環境ではあるはず、おかしな人やメモから逃げ切るのだ。
飛び出した所で結局また新天地で引きこもって、
今より美味しいご飯が食べられなくなるかもしれないし、
それどころかまともな生活が成り立たなくなるかもしれない。
酷く疲れたとしても、それは今感じている疲れとは別の疲れになるのではと想像する。
きっと、今家で感じているものよりはマシな類いの疲れだと思う。だってもうメモは来ない。

心がヘンテコな状態で引きこもり始めたら、お金のある限り引きこもって結局そのまま死ぬと思う。
どうせ死ぬなら、少しでもマシな死に方でありたい。
変な疲れが無くなるだけでも、それはそれなりに、多少はマシと言えるのではないだろうか。